ジュブナイルというのは小学校高学年から高校生くらいの読者を想定して執筆された低年齢層向け小説のことだ。
年齢層を区分けするための言葉でありジャンルは特定されない。SFのジュブナイルもあれば推理小説のジュブナイルもある。
主人公は中学生の作品が圧倒的に多い。
現在では死語となりライトノベルという言葉に置き換わった。挿絵が入った作品が多いのもジュブナイルとライトノベルの共通点だ。
というわけで今回はジュブナイル作家としても有名なSF作家光瀬龍夕ばえ作戦を紹介しよう。

ジャンルはSFだ。主人公は男子中学生の茂。
茂はある日学校の帰りに寄り道した古道具屋で奇妙な円筒を見つける。500円だった。高い。一旦は買わずに帰宅するがやはり気になって結局その円筒を買ってしまう。買った円筒をいじくり回す茂。するとあら不思議。茂は戦国時代にタイムスリップしてしまった。どうやらこの円筒は携帯型タイムマシンらしい。しかし行き着いた場所は風魔一族と伊賀忍者がまさに戦いの真っ最中だった。茂にも手裏剣が飛んでくる!だが野球部の山崎くんの豪速球を打ち返す茂にとって手裏剣を躱すことなど造作もない。こうして運動神経抜群の茂はなんとか窮地を脱する。
代官は奇妙な服装と言葉遣いの茂を公儀隠密の者と勘違いし丁重にもてなす。こうして茂はなし崩し的に代官に味方する伊賀忍者に協力して風魔一族と戦うことになるのだった・・・

と物語の冒頭でここまで一気に話が進む。すごい急展開だ。
様々な時代にタイムスリップするわけではなく、茂が生きた時代と戦国時代のみを行ったり来たりする。
透明なビニールシートを張って手裏剣から身を守るなど現代の道具を戦国時代に持ち込んで創意工夫で戦いを有利に進めていく茂。スポーツ万能の茂は機転の効くアイディアマンでもあった。
中学校の仲間を何人か誘って戦国時代に連れて行き、一緒に戦わせたりとなかなか人望もある。
追い詰められた風魔は卑怯な手段を使って反撃に出た。
茂と一緒にタイムスリップした担任女教師高尾先生を誘拐したのだ!

戦国時代が舞台だが小難しい日本史の知識などは不要でスラスラ読める。
この作品に出てくる忍者たちは超人的な能力を持っているわけでもなく、非現実的な技を繰り出すこともない。中学生の茂に終始圧倒されるので「仮面の忍者 赤影」やアメリカ映画に出てくる忍者などを期待して読むと失望するかもしれない。
テンポの良いジュブナイルが好きな人にお勧め。