アメリカのポピュラー音楽史に名を残した偉大な男ビリー・ジョエル。
彼がソロアーティストとして成功するよりもずっと昔に在籍していたグループがThe Hassles(ザ・ハッスルズ)だ。
2枚のオリジナルアルバムを残した。今回は彼らのセカンド・アルバムHour of the Wolf(アワー・オフ・ザ・ウルフ)を紹介しよう。

1967年に発売されたファーストアルバムに続いてこのセカンド・アルバムは1969年に発表された。
日本での発売はかなり遅い。1980年にキングレコードから発売された。
アメリカオリジナル盤は豪華見開きジャケットだがキング盤は普通の一枚用のジャケットだ。
このキング盤はすぐに廃盤になったが後に東芝EMIから再発された。正規版のCDは発売されていないが1990年代に盤起こしのブートが出回った。それはなぜかB面の曲が先に収録されていた。その後も手を変え品を変え出ている。

プロデューサーが前作のTony MichaelsとVinnie GormanからThomas Kayなる人物に変わった。
そのせいか音楽性もガラリと変わった。
ファーストアルバムはポップスの名曲をちょっとハードなバンドサウンドにアレンジしてカバーした退屈な作品だった。
セカンド・アルバムはサージャント・ペパーズに影響されたサイケサウンド。表題曲のHour of the Wolfは12分を超える大作。B面最後のFurther Than Heavenも7分を超えている。当時流行のトータルコンセプト・アルバムである。全曲がメンバーのオリジナル曲でありビリー・ジョエルは全ての楽曲の作詞または作曲に関わっている。
メロディはどれもなかなかいい。後に大スターとなるビリー・ジョエルの才能の片鱗を感じる。Richard McKennaの演奏するヨレたギターや遠くで鳴っているようなラッパの音色が気怠い雰囲気を醸し出しなかなか聴かせるサイケアルバムに仕上がっている。ちなみにビリーは「リチャードのジミ・ヘンドリックス気取りの下手糞なギターが我慢ならない」という理由でこのアルバム発表後にドラマーのジョン・スモールとともにハッスルズを脱退しアッティラというバンドを結成している。
アッティラというバンドはアルバム一枚で消滅したがメンバーのジョン・スモールは映像関係の仕事で成功を収めた。ソロで成功したビリーとも仕事をしていてビデオソフト「ロングアイランド・ライブ」などのエンドロールでその名を確認できる。

ハッスルズはメンバーの中でビリー・ジョエルだけが後に飛び抜けて有名となりセカンド・アルバムでも全曲を手がけているのでビリー中心に結成されたと思っていた。だがバンドの結成が1964年でビリーの加入は1966年。ビリーは後から加入して頭角を現したのだ。