今まで断捨離や片づけの本はたくさん読んだがこんまりこと近藤麻理恵さんの大ベストセラー人生がときめく片づけの魔法は読んでいなかった。
著者の近藤さんが20代という若さ(出版時)だからである。
「お片付けは家事の一種。こんな若者より家事の経験豊富な中年や老人の主婦が執筆した本を買った方がいい」と思っていたのだ。
だがこの考えはどうやら間違いだったようだ。
近藤さんは6歳の頃からオレンジページを読み部屋の整理に取り組んでいたという。しかも大人になってからは「片付けアドバイザー」という仕事を始めて毎日のように他人の家の断捨離を手伝ったりアドバイスしているという。
年齢は若くてもそこらのベテラン主婦よりはるかに多くの経験を積んでいるのだ。
すごく面白い本だ。内容は濃く文章に無駄がないので一気に読める。

自分の失敗を赤裸々に語ることも多く、こんまり式お片づけ術は試行錯誤の末に完成したのがよくわかる。
彼女も他人の執筆した片付け本や断捨離本を数多く読んできたという。そしてそれらの本の多くで常識のように語られているテクニックを試したが失敗したことも多い。このためこの本では他の本のテクニックのいくつかを否定したような内容になっている。
例えば「長年開けていない箱は中身を見ないでそのまま捨てろ」というテクニックがある。これはおそらく大昔に大ヒットした「捨てる技術」という本に書いてあった内容をそのまま多くの片づけ本の著者が真似して書いて広めたので定着したのだろう。
僕はこれは危険なやり方だと思う。長年使ってなくても捨ててはいけないものはある。
箱の中に家の権利書が入っていたらどうするのだ。
捨てる前に中身の確認は絶対必要だろう。
こんまりは「中身を見ないで捨てろ」などという乱暴なことは言わない。まずは絶対に捨ててはいけないものを選別。そのあと捨てるか残すか迷うもの全てを収納場所から出して床に広げ一つ一つ手にとって「心がときめく物だけ残してあとは捨てろ」と説く。必ず一度は収納場所から全部出して手で触れるというのが重要らしい。引き出しを開けて中のものを目で見ただけで捨てるか残すか判断してはいけないのだ。こんまり本を読んで僕もさっそく押入れに放置していた不調のBDプレーヤーを引っ張りだして触ってみた。ときめかなかったので捨てた。不具合連発で使うたびに喜びよりもイライラばかりが募る製品だったので後悔はしていない。

そしてこれまた多くの本で語られている「一日一個何かを捨てましょう」というテクニック。これもこんまり式お片づけでは否定されている。
実は僕も「一日一個捨てる」というのはやったことがあるのだがやっぱり挫折した。普通に生活していたら必ず何か買い物する。減る量より増える量の方が多くちっとも片付かないのだ。一週間に6個の物を買ったら差し引きで週に一個しか減らない計算になる。部屋が片付くわけがない。

このようにこんまり本は今までの汚部屋脱出本では書かれていなかった理論と技術解説が満載である。
僕も書いてあることを試してみたが断捨離がどんどん捗った。すごく説得力がある。
巷に溢れる他の汚部屋脱出本とは一味も二味も違う。外国語に翻訳されアメリカでもベストセラーになったというのも納得だ。
近藤さんは「この片付け術を実行すれば本当に心ときめく好きな物だけに囲まれた暮らしが実現し毎日が楽しくなる」という。そして「片付けとは過去との決別なので部屋がすっきりしたら必ず新しい人生が見えてくる」という。彼女はその言葉を証明するようにこの本が出版された数年後には結婚して現在は米国に移住し新しい人生を歩んでいるそうだ。
人によって程度の差はあるだろうがこの本に書いてあることを実践すれば本当に人生が変わるかもしれない。
【2018年6月追記】
現在kindle版は販売停止中。