断捨離をテーマにしたエッセイである。
著者の中崎さんは漫画家だがこれは活字の本。ほんの少しだが挿絵がある。
著者の仕事場における断捨離の様子や考え方を綴っている。
漫画家だから自宅が職場を兼ねていると思ったが、住まいとは別にマンションを借りている。
自宅の断捨離については触れていない。

いわゆるミニマリストである。断捨離をやりすぎて自宅が空き家みたいになっちゃった人はたまにいる。中崎さんの場合も(自宅ではなく職場だが)そんな感じだ。この本の冒頭に仕事場のマンションの写真がカラーで8ページ掲載されているが本当に何もない。漫画家の仕事場というと絵を描くための各種の道具や過去の原稿、資料として使う写真集やアルバムなど大量の物で溢れているイメージがあるが本当に何もない。
なるほど写真集などはパソコンに取り込んで紙の資料は処分したのかと思いきやパソコンも邪魔で処分したという。パソコンで描いていた原稿も昔ながらの手書きに戻した。そのためネットにアクセスする手段がなくなり小学館のサイトで連載していたブログもやめてしまったそうだ。

学生社会人問わず多くの人にとって机という家具は馴染みがあり漫画家ならなおさらだろう。だが中崎さんは物をもつのが嫌で机も処分してしまった。ではどこで漫画を描くかというとキッチンのガスコンロを押入れにしまって(ガスコンロも処分したいが賃貸の備品なので無理だったとのこと)その空いたスペースで描いていたという。だがこれは不自然な姿勢になったせいか腰を痛めて結局また小型の机を買ったそうだ。いろいろ試行錯誤している。
プロの漫画家なのに作品を描くためのペンは必要最低限。たぶん普通の人の平均よりペンの所有数は少ない。

仕事道具以外でも物との関わり方がかなり変わっている。本を買ったら読んだページは破って捨ててしまうそうだ。僕なんか読書していても内容が頭に入らず前のページに戻ることが頻繁にあるので絶対真似できない。
ボールペンも中身のインクが減ったらカットするという。プラスチックの軸の真ん中を切って前後を接着して全長を短くしたこともあるそうだ。そこまでやるなら最初から短いペンを買えばいいと思ったら、その後短いペンを見つけて喜んだという。良かったですね。

迷惑なエピソードもある。いつも買い物の時に包装もレシートも断って商品を裸のまま店の外に持ち出すので、ある時警備員に万引きと間違えられたそうだ。幸いレジのおばちゃんが駆けつけて説明してくれたから事なきを得たがそうでなければどうなっていたか。

断捨離に取り組む人には「快適な生活」という目標がある。だが中崎さんの場合は腰を痛めたり万引きと間違われたりして逆の結果を招いている。前者は自業自得で本人が苦しむだけだが後者は店の人に迷惑を掛けている。大人がこんなことしちゃ駄目でしょう。何が目的で断捨離しているのかさっぱりわからない。
一度捨てたCDをまた聴きたくなって買い直したりしているので経済的損失も大きい。物が少なくなることによる長所もたくさん挙げているがここまで極端にあらゆる物を拒否するとマイナスの方が大きいのではないか。
なんでもかんでも捨てれば良いというものではないだろう。何事も極端は駄目だ。

ただ引っ越しの時にすごく楽というのはとても良くわかる。
転勤族の人は読んで参考にした方がいいかも?!